「静かなところに引っ越したい」
ある日、妻がつぶやいたこのひと言が、我が家の暮らしを大きく変えるきっかけになりました。
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大阪市内から、静けさを求めて
私たち家族は、大阪市内の築35年の中古マンションに10年前から住んでいました。駅まで徒歩5分、梅田へも電車で15分。便利さでは申し分なし。ただ、古い間取りでDKには自然光が入らず、昼間から電気が必要な暮らしでした。
「子どもたちも独立して、これからは少しのんびり過ごしたい」
そんな思いが妻の中に芽生えていたようです。
売却の広告を出すと、あっという間に買い手が見つかり、慌てて新居探しがスタート。最終的に選んだのは、私が小学生から結婚するまで過ごした、懐かしい郊外の町でした。
戸建て生活、はじまりました
新しい家は、自然光がたっぷり入る明るい間取り。駅までの道のりには視界を遮る建物が少なく、鳥のさえずりを聞きながら歩く朝は、なんとも穏やかです。
ただ、商業施設が少ないのは少し不便。会社帰りに一杯…も難しくなりました。妻にとってはスーパーが少ないのが悩み。坂も多いので、すぐに電動自転車を購入しました。
徒歩だけでは生活が難しく、戸建てならではのメリットを活かして、車を買おうかという話に。結婚後は市内生活で車を手放していましたが、もともと車好きだった私は少しワクワクしていました。妻は「好きな車を選んでいいよ」と一任してくれました。
そして、家族がもう一人増えました
戸建てでの暮らしが落ち着いてきた頃、ふと思ったんです。「犬も飼えるな」と。
子どもたちとの接点も増えるかもしれないし、内向的な息子にとっても良い刺激になるんじゃないかと。
私と息子は柴犬がいいなと話していたのですが、妻はトイプードル派。長女は「みんなの意見を尊重するよ」という、いつも通りの優しさ。最終的には一番家にいる妻の意見が通り、トイプードルに決まりました。
ペットショップで買うことにも少し疑問があったので、ブリーダーさんを探すことに。30万円以上が当たり前の中、妻がネットで見つけたのが、20万円のチュー太郎。
「アンダーショット(受け口)だから、コンテストには出られませんよ」
そう言われましたが、そんなの関係なし。一目見て「この子だ」と感じたんです。マイペースと紹介された性格は、今思えば「やんちゃ」の婉曲表現だったのかも。
納車が間に合わず、チュー太郎はレンタカーでお迎え。あの日から、チュー太郎が家族の真ん中にいます。
第二の人生、始まりのとき
40代、50代は「終わり」じゃなくて「始まり」。
子育ても一段落し、自分たちのための時間が増えた今、ちょっと勇気を出して環境を変えてみると、思いがけない喜びが待っているのかもしれません。
静かな町での戸建て暮らし。 新しい車。 やんちゃなトイプードル、チュー太郎。
全部、妻のひと言から始まった小さな冒険です。